スマートフォン向け人気ゲーム「ヴァルキリーコネクト」の制作、引越し比較・予約サイト「引越し侍」やブライダル情報ポータルサイト「すぐ婚navi」の運営などで知られるエイチームグループ。
そのカスタマーサポート部門を担っているのが2013年より株式会社エイチームのテレマーケティング部門が独立し設立された株式会社A.T.サポートです。
今回は名古屋にあるエイチーム本社にお邪魔し、株式会社A.T.サポート熊澤社長にお話を伺いました。
熊澤 博之 社長プロフィール
1977年生まれ、名古屋市中央高等学校卒業。
有限会社中部設備へ入社。その後、株式会社エイチーム入社し、引越し比較・予約サイトなど、多くのサイトの立ち上げを行い、現ライフスタイルサポート事業本部の礎を築く。現在は、株式会社A.T.サポート及び引越し侍の代表取締役社長を務め、親会社エイチームの取締役も兼任し、エイチームグループ全体の舵取りを担っている。
まずは、エイチームグループについて教えてください。
株式会社エイチームは2000年に携帯電話向けコンテンツ開発の会社としてスタートし、2006年からメディア事業にも参入しています。そこからゲームやアプリ開発を行う「エンターテインメント事業」と、引越しや結婚、車など生活の起点となる分野に関するメディアを立ち上げ、運営していく「ライフスタイルサポート事業」の2軸で事業を行っています。最近では3つ目の柱として「EC事業」もスタートしました。
2013年からは、それぞれの事業を強化していく目的で、子会社化して業界に参入し、事業を進めてきました。引越し比較・予約サイトを運営する「株式会社 引越し侍」などがそれです。その際に、自社で始めたカスタマーサポート、テレマーケティング事業も子会社化し「株式会社A.T.サポート」を設立しました。
株式会社A.T.サポートでは、主に「引越し侍」や「すぐ婚navi」をご利用いただいたお客様からのお問い合わせ対応や、サイトを利用して下さったお客様へ、光回線や家電など生活周辺機器をご案内していく業務を行っています。
A.T.サポートはどのように成長してきたのでしょうか?
A.T.サポートは、今年で立ち上げて3年になりますが、スタッフは80名あまり在籍し、うち半分を正社員が占めています。コールセンターはアルバイトさんやパートさんが多いというイメージがありますが、当社は当事者意識を持ってもらうために、正社員を積極的に採用するようにしています。
スタッフは、前職でコールセンターを経験していたという人もいますが、未経験の人が多いです。コールセンターでの経験がある人も戦力ですが、即戦力のスキルよりも“エイチームらしさ”を大事にしたいと考えています。
そのため、「コールセンターとは」という知識を持っている方よりも未経験の方の方がエイチームらしさを浸透していきやすいかなと思っています。
以前は、コールセンターの事業を専門企業に委託してきましたが、自社でノウハウを構築して、コールセンターの役割を全社的に高めていこうという考えからA.T.サポートを立ち上げました。
立ち上げたばかりの頃は、ノウハウが無かったため、外部のコールセンター管理者の方を呼んで立ち上げのコンサルをしていただきました。
当時はスタッフにかなり厳しく指導をしており、目標やノルマに対してストイックな環境だったと思います。私たちもコールセンターを運営するのは初めてだったので、コールセンターはこれが普通なのかな…と思って続けていたのですが、アルバイトさんが多めだったこともあり、厳しい環境が合わずに、みんな入ってもすぐに辞めてしまうということが起こってきました。“飴と鞭”の鞭が多めだったからだと思います。
あるとき、「このままではエイチームグループっぽくない組織になりそうだな。」と危機感を感じ、今一度エイチームの理念をA.T.サポートでしっかり受け継いでいこうと思いました。
エイチームの理念とは「みんなで幸せになる会社」。そこを根底に持たないとスタッフはすぐに辞めてしまうし、帰属意識が持たれない。
そこで、コールセンター運営においても“飴と鞭”の鞭が多めという環境から、エイチームらしく、しっかりみんなの幸せを担保することを第一に考えるようにしました。そのために、まずは、エイチームに誇りと帰属意識を持ってもらうための取り組みを行いました。
インセンティブなど「個人」が幸せになっていく取り組みは他社コールセンターでも推進しているところは多いと思いますが、当社では自分のためではなく、みんなで幸せになることを考え、一つの目標に向かって頑張るという流れを作れるように働きかけてきました。
「みんなで幸せになれる会社にすること」と「今から100年続く会社にすること」。
A.Tサポートでも最近になってその理念を大切にしていこうという全体的な流れが出来上がってきたかな、と感じています。
エイチームらしいコールセンターづくりに必要だったのはどんなことでしょうか。
理念の浸透はグループを通して努力していますね。
まずは、エイチームのことを理解できているかテストを受けてもらって、一定数の点数に達したら仕事を始めてもらいます。テスト内容は、事業内容、売上規模などエイチームで働いていく上で当たり前の内容なので、仕事のスキルなどを測るわけではありません。
「よくわからない会社で働く」のではなく、どういう会社の、どういう立ち位置で、どんな役割を担っていくのか、ということを理解することで、モチベーション高く働けるのではないかなと思っています。
働いているメンバーも明るくて元気な人が多いですね。そういうポテンシャルを持っている人を採用しているのもあります。
最近、「7:3の法則」というのを思いついたのでご紹介すると、人って感情にそれぞれ波があると思うのですが、ポジティブかネガティブかでいうとネガティブな感情の方が圧倒的に強いんですね。愚痴や不満を言うと周りはそれに共感されやすいと思うんです。
人数の割合で5:5だとネガティブの方が勝ってしまう。6:4でポジティブの方が多くても、まだネガティブの方が強い。でも7:3でポジティブを多めにすると今度はポジティブが強くなり、ネガティブな人もポジティブな考え方になりやすい。そう思うんです。これまでも、ポジティブな発想の人を多めに組織を作ってきたなと思います。
企業理念に共感し、一人ひとりが成長していくために必要なことはどんなことですか。
同じことをずっとやり続けるだけでは、マンネリ化してしまうので、事業部や部署の異動などを行うようにしています。また、一人ひとりが成長を実感できるような取り組みとして、自分はどうなっていたいか、半年後、1年後、3年後のビジョンという目標管理シートをグループの社員全員が持ち、3ケ月に1回上司と面談するようにしています。
それを見ると、3年前は3年後こうなりたいと書いたけど、今こうなっていると振り返ることができるので成長を実感できることができます。「どうなりたいか」のイメージを抱き、振り返り、反省する、この繰り返しが大事だなと思っています。
また、エイチームグループでは、毎週全社員を集めて全体ミーティングを開いています。大阪や東京の支社も中継できるようにして、全員が見られるようにします。
ミーティングの中では、各事業の進捗報告や、部署ごとに、こういうことをやっている、結果はこうなった、といった各事業の成長や失敗例を共有しています。
自分がどのセクションでどう頑張るかというのを600人全員が認識できる環境をつくることで、一人ひとりが成長し、結果的に会社を成長させてくれます。
あとは環境もそうですね。
エイチームグループはこれまで何度かオフィスの移転もしてきましたが、いつも自分たちの実力の少し上くらいのグレードのオフィスを選ぶようにしています。
(※2016年現在、名古屋駅すぐの大名古屋ビルヂング32階がエイチームのオフィス)
そうすることで、社員の間にも「このオフィスに見合う人間にならなければ」という期待感や緊張感が生まれ、社員一人ひとりが、より一層、内容の濃い仕事をしてくれるようになります。
※エイチーム社内
みんな前向きで、新しいスキルをどんどん吸収してキャリアアップしていくために自ら動けるメンバーだからというのもあるかもしれません。
自分を高揚させてくれる環境で仕事ができるのは喜びだと思います。物質的な何かよりも、働く環境そのものが福利厚生に繋がるように、ということを考えています。
エイチームグループの中で果たすA.T.サポートの役割とは何でしょうか。
A.T.サポートの社員は、1日に何十件と電話をかけたり、受けたりする、いわば、エイチームグループの中で唯一お客様と1対1で関わり、お客様の生の声を聞ける立場です。
そして、お客様からしたら、初めて関わるエイチームのスタッフ。ですので、一人ひとり、しっかりエイチームの代表という意識を持って取り組んで欲しいと思っています。
コールセンターの将来像で言うと、インバウンドか、アウトバウンドか、また商材によっても変わってくると思いますが、唯一変わらないのは、会社の代表として、お客様と1対1で話せるということです。サービスを運営していく上での財産になりえます。
どう活かして行くかは、会社にとってとても重要ですね。何か一つの商材を単発で売って、「売れたから良かった!」ということでは持続しないと思うんです。継続してお付き合いいただけるお客様がいることで、会社が伸びていくし広がっていくので、お客様のロイヤリティを向上させていく取り組みが必要です。
現在、当社でご案内しているサービスは、通信回線や家電など引越しの周辺機器ですが、これからサービスも広がっていくので社員にはさらにフレキシブルに対応できることを求めています。コールセンターで一つの商材の受注を上げていける人よりは、いろんな事業部でいろいろな活躍ができるオールマイティな人材に育っていってほしいと思っています。
私たちもまだコールセンター3年生なので、まだまだこれから学んでくことが多いですね。
最後にA.T.サポートがこれから目指して行く像を教えてください。
エイチームグループの理念は「今から100年続く会社」なのですが、数字として100年続くことを目指しているのではなく「今から」というのがすごく大事だと思っています。
それには、常に新しいことにチャレンジしていくことが求められます。これからどんなサービスが必要とされていくのか、市場をしっかりと見極めて、そこにチャレンジし続けていくという想いでいます。
1回やってみてダメならダメで次のことをやっていく。そういう意識が大事ですね。
A.T.サポートも同じで、エイチームのカラーに共感してくれる仲間をどんどん集め、常に新しいことにチャレンジしていくこの会社の代表として、お客様と向き合い続けていきたいと思っています。
熊澤社長、本日はありがとうございました。
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