コールセンタージャパン編集部が主催する「コンタクトセンター・アワード2016」にて「オフィス環境賞」を授賞した「富士通コミュニケーションサービス横浜みなとみらいソリューションセンター」。 2014年に本社を移転し、それまで分散していた3拠点5フロアを、安全性の高いビルのワンフロアへ集約した。
社員の意見やアイデアを反映し、コミュニケーションが取りやすいスペースや導線の確保、プロモーション機能の整備など、ES、CSともに満足度の高いオフィスが特徴だ。
生産性そして従業員の満足度を向上させるオフィスとは何か。横浜みなとみらいソリューションセンターにて話を伺った。
富士通コミュニケーションサービス
横浜みなとみらいソリューションセンター オフィス概要
住所: 〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-4-5 横浜アイマークプレイス
事業内容:「コンタクトセンター」および「ITサポート」のアウトソーシングサービス
センター開所:2014年7月
オフィス移転でこだわった3つのポイント
同社が本社を横浜みなとみらいのオフィスに移転したのは2014年7月。
移転前は、3拠点5フロアに本社機能や事業拠点が分散されており、他プロジェクトとのコミュニケーションが取りにくい、オフィスの有効活用ができていないなど課題があった。
創立20周年を機に本社機能の移転を含め、京浜地区オフィスの拠点統合・再編を計画し、同地区にあった3拠点5フロアを現横浜みなとみらいソリューションセンターの1フロアへ移転することに決めた。
オフィス設計のポイントは、「安心・安全」と「プロモーション機能」そして「社内交流」。 災害時におけるスタッフの安全の確保、生産性と効率アップ、そして働き易い環境に配慮した。
同社では移転に際し、経営陣の想いだけでなく社員の声を反映することを重点に置いた。プロジェクトチームを作り、ワークショップを開催して現場の社員からもアイデアを募って反映していくことを目指した。
危機管理とECOへの取り組み
横浜みなとみらい地区を選定したのは、安心・安全を意識して地盤の固い土地であること。
オフィスのある横浜アイマークプレイスは、建築物環境総合性評価システム「CASBEE」の最高「S」ランク相当で、最新の耐震構造となっている。
災害時に備えて、リフレッシュルームの収納スペースには十分な防災用品を備蓄、スタッフの防災と危機管理意識を高めるための教育も徹底しているという。
このほか社員が出入りするオフィス入口には、ビルで管理しているECOモニターが付いており、消費電力が一目でわかるため、各々が電力コストを意識して業務に取り組めるよう工夫されている。
コールセンタープロモーション施策とその効果
アウトソーシング事業を行っている同社では、クライアントに対し、コールセンターの見学を行っている。コールセンターはガラス張りで内部が見えるようになっており、サポートの現場状況をリアルに知ってもらえる作りにした。
同時に、向かいの壁には、プロジェクター3台を使って映像やデジタルサイネージで工程をデモンストレーションしている。
クライアントにコールセンターを直接見て感じてもらう事で、品質や管理体制だけでなく、業務を請け負うスタッフや職場の雰囲気がわかり、より安心して任せてもらえる。これまでに200社以上のクライアントがセンターを訪れ、事業の拡大につながっている。
また、センター見学はビジネスの優位性だけでなく、スタッフ自身もクライアントに見られる事により、意識レベルが上がり業務品質や、生産性の向上にも繋がっている。
社内コミュニケーションの活性化
移転の際、社員からの声で様々な意見が出る中で、最も多かったのが「風通しを良くしたい」という声だった。
そこで社員がコミュニケーションを取りやすくするためのオフィスデザインに注力した。
サポートブースでは、部署によって異なるが、1人のリーダーが複数のスタッフをまとめる形式で編成されているため、仕切りを低くして、リーダーが全員を見渡してフォローができるようにした。
移転プロジェクトを担当した総務人事サービス部 豊島寿文担当部長
また、社員同士が自由に行き来できるよう、部署ごとに部屋を分けないワンフロア形式を採用。
「現場で働く社員から、総務や人事など本部の社員になかなか話しかけづらいといった声が上がったため、部署ごとの壁を取り払ってオープンにしていくことで、部署を越えたコミュニケーションがとれる環境を目指しました。」(豊島さん)
「ちょっとした相談ごとやミーティング時にもすぐ集まれるように」と、オフィスの中には、ところどころに小会議用のスペースが設けられている。1ブース4~6名程度の小規模スペースで、こちらも防音シートで区切られているのみで壁はなく、オープンにしている。
「社内のコミュニケーションを活性化させることで、ビジネスのアイデアが生まれやすくなることも目指しています。」(豊島さん)
また、社員が休憩時に使うリフレッシュスペースを移転前の3割増と広めに設けた。
カフェのような雰囲気で、テーブルやソファでくつろぎながら全面の窓ガラスから景色が眺められる造りは、社員からも喜ばれている。
リフレッシュスペースは休憩用としての場所だけではなく、定期的にイベントを開催するなどスタッフ同士の交流が図れる場として、また、サイネージや掲示板を設置し、健康管理や社内イベントなどの情報を発信する場としても活用している。
さまざまな工夫が手伝ってか、実際にスタッフからはコミュニケーションが取りやすくなり「他の社員と話す機会が増えた」「壁がなくなったと感じる」といった声が聞かれているという。
ESの向上を目指して
同社は11拠点と顧客先での常駐スタッフ総勢4,100名が在籍しており、社員比率が多いのが特徴。クライアント企業のシステム担当からのテクニカルな問い合わせに対応するヘルプデスク業務から、個人ユーザーからの簡単な問い合わせまで対応の幅は広い。
システム系のテクニカルな知識も要することから、研修体制も充実させている同社だが、スタッフに求めているのは、応対品質の向上だけではなく、「多彩なキャリアプランを描いていける」こと。一人ひとり成長できる環境を目指し、研修制度も充実させている。
マインド、ビジネススキル、階層別などおよそ30種類の研修制度でキャリアアップを支援しているほか、英語、ヨガ教室、ワイン講座といったカルチャー教室も社内で開いている。社会人としてビジネスのスキルだけでなく楽しみの幅も広げられる制度は魅力だ。
また、ストレスや疲れを解消できるように、1回300円でプロのマッサージが受けられるマッサージサービスを導入するなど従業員満足度の向上に努めている。
成長の拠点として
同社がレイアウトを構築するときに目指したのが「10年後も成長し続けていける環境」。
実際に社員からは、耐震性も高く安心して働ける、会社全体が見渡せてコミュニケーションがとりやすくなった、リラックスできるといった声が聞かれているという。
快適なオフィス環境は、アイデアの創出や生産性アップへの効果が見られると言われているが、同社のように社内のコミュニケーションを大切にした取り組みもプラスされることで「成長の拠点」としての価値が生まれてくるのかもしれない。
オフィス環境賞
株式会社リックテレコム コールセンタージャパン編集部が主催する「コンタクトセンター・アワード2016」において、優れた設備や制度を備えたコンタクトセンターに贈られる賞。
コールセンターのマネジメントの理想が追求されたオフィス、働き易い配慮がされた優秀なコンタクトセンターとしてのオフィス設計や、建物そのもの、そこに働く従業員と地域の共生や環境にこだわった施設、また高度なITやセキュリティの展開された施設などの「器」を主とした選考が行われている。